調停離婚や離婚裁判で離婚が成立した場合には公正証書というものが必ず作成されます。また協議離婚であっても夫婦間の取り決めを形に残しておく場面で公正証書を作成する場合があります。

ここではそんな公正証書についてお話しています。

目次

離婚公正証書の作成費用

公正証書の値段は契約を定める金額の大きさによって作成費用が変わります。

契約する金額とは慰謝料や養育費、財産分与する金額の総額です。

本表は日本公証人連合会のHPからの引用です。参考程度にご確認ください。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算

司法書士や行政書士、弁護士に依頼するときの費用

公正証書の作成を弁護士や行政書士などの専門家に依頼した場合、作成手数料に加えて専門家への報酬の費用が発生します。

こうした専門家への報酬の相場は5~10万円となっています。

公正証書を自分で作成するには?書き方や作り方

公正証書に書けないこと3つ

公正証書には夫婦二人が合意しても法律上無効であることは書けません。

よくある3つの書けないことをお話します。

養育費の放棄と面会の拒否

これはどちらも子が親に対して請求できるものなので、親である夫婦2人の間で決めれることではありません。両親が同意しても放棄できるものではなく、無効になってしまいます。

養育費の金額の変更の拒否

物価の変動や家庭環境の変化、収入の変化などの理由で養育費の金額を変更することは可能とされているのでこれを拒否することはできません。

利息制限法を超えて金利を設定すること

慰謝料の金利や遅延損害金の金利は利息制限法の範疇でしか設定できません。利息制限法を見しして公正証書を作成した場合、削除もしくは書き直しとなります。

あらかじめ決めること・書くべき内容

公正証書において書いておいたほうがいいことをお話しています。

親権はどちらが持つのか

子供のことを優先的に考えてどちらが親権を持つのかをあらかじめ決めておきましょう。複数人子どもがいる場合、それぞれで決めることができます。

面会交流

面会の頻度や場所、面会時間、またプレゼントの可否など細かく記載し提出後にトラブルが起きないようにしましょう。

養育費の金額

子どもを育てるために必要な養育費。養育費の総額、一括か月々の支払いか、振込化手渡しかなどの支払い方法、支払い期日などを決めておきましょう。

また子どもが成人するまで支払うのか、20歳になるまで支払うのかも決めておきましょう。

相場が気になる方は裁判所の養育費算定表を目安にしてみてください。

こちらのページの表1~9をご確認下さい。

慰謝料

夫婦どちらかに離婚の原因があると慰謝料を支払うことがあります。夫婦間で話し合って決めるのであれば金額、支払い方法を決めておきましょう。慰謝料は養育費のように事情を要因とした金額の変更ができないことを注意して記入しましょう。

財産分与

夫婦間での慰謝料の有無、支払い方法を記入しましょう。

公正証書のテンプレート

こちらのダウンロードできるひな形をご参考いただけます。

作成時に必要な書類

代理人や年金分割を必要としない場合は公正証書案文と本人の身分証明書が必要です。身分証明書は運転免許証、パスポート、顔写真付きの住民基本台帳のいずれかに認印の組み合わせか印鑑証明書と実印の組み合わせの合計4種類のうちのいずれかが必要となっています。

代理人を必要とする場合は上記に加えて委任状、年金分割がある場合は年金分割合意書が必要となります。

委任状の見本はこちら、年金分割同意書の見本はこちらからご確認ください。

公正証書はどこで提出すればいい?

完成した公正証書は公証役場に保管されます。

夫婦で作成した公正証書を持って当事者となる夫婦二人で公証役場に出向きます。どうしても夫婦二人で出向きたくない場合は公証人が認めた代理人で手続きを進めることができます。

公正証書の効力

当事者間で作成された離婚協議書と公正証書の時効期間はともに5年と時効期間に違いはありません。

ですが調停や裁訴訟などの裁判所の手続きによって取り決められた公正証書の時効期間は10年と離婚協議書よりも長くなっています。契約不履行時に差し押さえを強制執行する効力があります。

離婚公正証書を無効にする方法

原則として公正証書は双方の同意がない限り撤回はできません。

ただし作成したはいいものの、相手と自分の認識が違って賠償方法や内容が予想していたのとは違うとなった場合や相手の詐欺や脅迫によって作成した公正証書は取り消すことができます。

ですがお互いで意思の錯誤がなく同意の上で作成した公正証書の取り消しや内容変更は相手の同意がなければなかなかできません。

もしどうしても変更したい場合は裁判や調停で争う必要があるのですが、公正証書は元裁判官などの法律に詳しい第三者である公証人の同意のもと作成されています。つまり、公証人が同意したということは第三者の目から見ても支払う側の支払い能力に不足はないと判断されているということです。したがって、いくら弁護士と言えど公正証書を無効にしたり取り消したりするのは難しくなってきます。

案件が難しくなればなるほど弁護士費用は高くなります。そのうえ必ず無効にできるわけではないため、その辺りをよく考えてから裁判を起こさなくてはいけません。

 

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