協議離婚と調停離婚。同じ離婚に行き着くのは同じですが、離婚までの経緯が少し違います。
ここでは具体的にどこが違うのかをお話しています。
目次
協議離婚とは
協議離婚とは、第三者の介入なく夫婦間で離婚の話し合いを行い離婚届を提出することです。
この第三者というのは離婚調停でお世話になる調停委員や裁判所のことです。
特徴としてメリットでは費用がかからないことや面倒な手続きがないことがあげられるのに対し、デメリット話し合いが長引きやすく後日トラブルになりやすいことがあげられます。
調停離婚とは
調停離婚とは第三者である調停員を挟んで離婚について話し合い、離婚することです。
特徴は話し合いを進めやすくお互いが納得いくまで話し合うことができることがメリットで、時間がかかることや弁護士を雇うことで費用が割高になることがデメリットとしてあげられます。
協議離婚と調停離婚の違い
1.第三者である立会人の有無
最初にあげられる大きな違いはやはり第三者が介入するかしないかでしょう。
夫婦間での話し合いである協議離婚ではお互いの意見を言い合い、いろいろな取り決めをするとどうしてもヒートアップしてしてしまいなかなか話が進まないこともあります。そこで調停員が介入することで冷静に話し合うことができ、自分の考えや希望条件を整理できるのも大きな違いでしょう。
また調停員は離婚の専門家でもあるので、不安に思っていることや心配事を質問する相談役にもなってくれます。
2.離婚成立までの手順と日数
協議離婚は双方が納得し、離婚届を提出すれば最短即日で離婚成立となります。
対して離婚調停は平均して約半年、回数にすると約3回の調停を経ても離婚が成立するかどうかがわかりません。不成立になることも珍しくないようです。
3.作成しなければいけない書面とその効力
次にあげられるのが作成した書類の効力です。
協議離婚では夫婦間での取り決めを任意で公正証書として作成でき、調停離婚では調停証書というものが離婚成立時に必ず作成されます。
この2つは不履行の場合に執行力というものが発揮されますが公正証書に記載されたことで強制執行できるのは金銭の支払いを目的とした場合のみとなっていて、交流面会などの不履行に対しては強制執行が行えません。対して調停証書にはこのような制限がありません。
また債権の時効期限にも違いがあり、やはり公正証書の期限は調停証書の期限より短くなっています。
全般的に協議離婚で作成した書類は調停離婚で作成した書類より効力が弱いと考えておいてもいでしょう。
4.離婚欄への表記
離婚したという事実は戸籍の離婚欄に記述されるようになっています。
これは協議離婚も調停離婚も同じなのですが、協議離婚では離婚届を提出、受理したとだけ記載されるのに対し、調停離婚の場合は家庭裁判所にて調停の上、離婚したと記入されます。
こうなると調停離婚は少し揉めて分かれた、スムーズに別れることができなかったということが一目で分かってしまいます。
5.離婚成立になるまでの費用
夫婦間での話し合いで完結する協議離婚といくつかの手続きや弁護士を雇う費用が必要になってくる調停離婚では必要な費用が変わってきます。
それぞれの費用について
先程協議離婚と調停離婚では費用が変わってくるとお話しましたが、ここでは具体的にどう違うのかをお話しています。
まず、協議離婚は夫婦間で話し合いが終われば離婚が成立するので、費用はかかりません。
それに対し調停離婚は調停の申し立て費用が3000円程度と調停をするだけで費用がかかります。
極端に言えば協議離婚と調停離婚の費用の差はこれだけです。費用の差が開くのは弁護士費用です。話し合いで離婚が成立するなら弁護士は必要ありません。
離婚調停における弁護士の成功報酬は約20~60万円と言われています。
弁護士費用の相場 |
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話し合いの内容 |
成功報酬の相場 |
慰謝料請求 |
獲得金額の1割~2割 |
財産分与 |
獲得金額の1割~2割 |
親権の獲得 |
10万円~20万円 |
養育費の獲得 |
1年分の養育費の10%前後 |
協議離婚と調停離婚ってどれくらいの割合?
離婚と聞くと裁判で争うイメージがありますが意外にも離婚裁判まで進むケースは全体の1%で、調停離婚は9%。残りの90%が協議離婚です。つまり離婚の大半が夫婦間の話し合いで終わっていて、調停まで進むのはかなり珍しいことなのです。